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写真が好きな、あの子の本音。
camell「zines」

STORY
2026.07.14

彼女が選んだ、人生のベストショット | ぺんさん

「あの人の、人生のベストショットはどんな1枚なんだろう。」
そんな素朴な興味から始まったこの企画。
ひとりのカメラ女子にフォーカスし、写真のこと、そして人生で撮影した“ベストショット”を紐解いていきます。

3人目は、ぺんさん。
大好きなペンギンを、もっときれいに残したくて。
その想いから手にしたカメラは、いつしか“なんてことない日常”を愛おしむ時間になっていきました。

特別なものじゃなくても、世界はこんなに面白い。
そう教えてくれる彼女の写真には、どんな想いが込められているのでしょうか。

PROFILE

愛称:ぺん さん
カメラ歴:3年
Instagram:@poyomeasari / @asari_vegephoto
note:@dailylifeasari
愛機:SONY α6400
レンズ:E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS、E 55-210mm F4.5-6.3 OSS
そのほか:Canon IXY digital 55、Camp Snap

ペンギンに会いたくて、カメラを手にした

ぺんさんがカメラを手にしたきっかけは、「大好きなペンギンを、きれいに撮りたい」という想いでした。

もともとはスマホで写真を撮っていた彼女。大学生になってひとり旅をするようになった頃、その物足りなさに気づいたといいます。

水族館でじっくりとペンギンを眺めていると、その時々の表情や、ほんの一瞬の動きまで残したくなる。けれどスマホでは小さくしか写らず、ズームをすれば画質も落ちてしまう。

「もっといいカメラが欲しい」。その気持ちが、SONY α6400との出会いへと繋がっていきました。

「写真っておもろい」と気づいた日

「写真って楽しいかも」。そう最初に感じたのは、国営昭和記念公園を訪れたときでした。

体調を崩し、家にこもりがちだった時期。なんとか状況を変えたくて出かけた公園で、せっかくだからとカメラを向けたチューリップや菜の花。その背景のやわらかなボケや、鮮やかな色味に、心が動きました。「写真っておもろいな」と、心から思えた瞬間でした。

もともと凝り性だという彼女。構図やレタッチをきっちり学ぶというより、自分でいろいろ試しては「こうやったらこうなるのか」と発見を積み重ねていく。その過程が面白くて、自然と続いていったといいます。

そういえば、小さい頃は絵画教室に通い、木の実や落ち葉を使った立体工作が好きだったそう。ペンギンに夢中になってからは、暇さえあればペンギンの絵を描いていた——自分の手で何かを作り上げる楽しさは、あの頃から変わっていないのかもしれません。

なんてことない日常に、心が動く

ぺんさんが惹かれるのは、人のぬくもりがそっと感じられる空気感。静かな生活感のある景色や、人の気配がふわっと漂う風景。完成されたものではなく、時間の経過の途中にあるもの。

そして、空。どんな状況でも敵にも味方にもならない、その安心感が好きなのだといいます。風景やスナップを撮るときも、つい空を大きく写してしまう。

道の隅に咲く花、散った花びら、誰もいない駅のホーム、田舎道にぽつんと立つ標識。さらりと通り過ぎてしまえる日常の一場面に、彼女の心はよく動きます。

「最近グッときたのは、電車の日除けカーテンが揺れているところ」。振動に合わせてふわっと揺れる布地に日が差して、光と影のコントラストができていた——その何気ない美しさに、シャッターを切りたくなったそうです。

特別じゃなくても、世界は面白がれる

「特別なことをしなくても、こんなに世界を面白がれるんだな」。そう感じてもらえたら本望だと、ぺんさんは話します。

目を引くものや完璧に仕上がったものが「映え」ともてはやされる時代。けれど、身の回りに当たり前のように転がっている景色にこそ、平和や幸せが詰まっている。なんてことない日常を、ちょっとだけ愛おしく感じるきっかけになれたら——そんな願いが、彼女の写真には込められています。

細かいところによく気づき、深く考え、空気の変化に敏感に反応する。そんな彼女自身の“ちょっと変わった視点”が、写真にもやさしく表れているのかもしれません。

写真は、ひと息つける居場所

カメラを買ったその日、自宅のすぐ近くで紅葉を撮ったことを、今でも覚えているそう。初めてのお出かけは京都・東寺で、五重塔にレンズを向けました。

撮影した瞬間にタイムスリップできること——それが、カメラをやっていて嬉しい瞬間だといいます。人の記憶には限りがあるけれど、写真に残しておけば、時が経ってからでもそのときの感情を呼び戻せる。「私は確かにここにいて、これを見て、こんなことを考えていた」。その“あのとき”に戻れる感覚が、ちょっと切なくて、好きなのだと。

忙しい毎日の中で、写真は「ひと息つける居場所」。カメラを持てばふと足が止まり、空を見上げる。しんどさも将来の不安も一瞬だけ忘れて、「今」に集中できる。

ぺんさんにとって写真を撮ることは、もはや人生そのもの。見たもの、歩いた道、育てた野菜——生きてきた痕跡が、そのまま残っているのだから。

BEST SHOT

今回ぺんさんが選んでくれたのは、大好きなペンギンの1枚。
これこそが、彼女がカメラを買った理由——「ペンギンの表情や一瞬の動きを残したい」を叶えた写真です。

キングペンギンが時折見せる、どこか物憂げな表情。見ているこちらの心臓が、キュッとなるような。長いくちばしから垂れる水滴まで写し込めたこの1枚は、「これ以上ないぐらいのベストショット」。

最近は日常を撮ることが多いけれど、やっぱり原点はペンギンだから。そう言って選んでくれた、大切な1枚です。

「この写真を見て、真っ先に何を思うでしょうか」——彼女は、見る人にそっと問いかけます。

これからも、写真とともに

これから挑戦してみたいことも、たくさんあるそうです。

歩くことが好きだから、鉄道の線路沿いを歩いて撮る「沿線の景色」シリーズ。電車なら一瞬で通り過ぎる場所をあえて歩けば、その土地を少し深く知れるし、愛着も湧く。いつか写真で沿線のマップを作り、地域活性化に繋げるのが野望だといいます。

そして、毎日撮りためている空の写真を、ポストカードにしてマルシェに出店すること。旅先で出会った無人のポストカード屋さんのように、「ささやかなぬくもり」を誰かに届けたい。

大好きなペンギンから始まったカメラは、いつしか日常を愛おしむ時間になりました。

なんてことない景色の中にある、小さな幸せ。
それをそっとすくい上げる彼女の写真には、世界を面白がる気持ちが、やわらかく息づいていました。

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