女性フォトグラファーが切り取る、メンズポートレートの魅力
こんにちは。Camell編集部の櫻子(@sako_photo)です。
普段は、フォトグラファーとしてInstagramを中心に活動しています。
そしてこのたび、CamellのWebマガジンにて記事を書かせていただくことになりました。
ここでは、日常の撮影体験の中で、「こんな撮り方を試してみた」「挑戦してみた」といった新しい挑戦をやリアルな気づきを中心に、写真とともにお届けしていきます。これからどうぞ、よろしくお願いします!
目次
今回のトピックは、「メンズポートレート」
普段は女性を撮ることが多いのですが、最近、俳優さんを撮影する機会がありました。
男性の被写体さんを撮るのはほぼ初めてで、私にとっては新しい挑戦。
緊張していましたが、撮影を成功させたくて、試行錯誤しながらいろいろと工夫してみました。
実際、どんなことに気をつけたか、どんな工夫をしてみたか、というのをまとめてみたので、よかったら参考にしてみてくださいね。女性フォトグラファーの視点で切り取る、“メンズポートレートの世界”をぜひご覧ください✨📸

撮影させていただいたのは、 映像作品やプロモーションビデオなどに出演されている俳優の Gakuさん(@gaku_ka)。
実際にお話をしてみて感じたのは、穏やかな雰囲気の中に、しっかりとした「芯」のある力強いまなざし。
だからこそ、今回の撮影ではその人柄や内面に秘める「パワーが感じられるような写真」に仕上げたいと思いました。最初に決めたのは、服装から。
女の子を撮るときは、コットン生地のワンピースなど
ナチュラルな雰囲気の服装で撮影することが多いので、
今回の撮影でも自分らしさを写真に込めたくて、あえてリネンの白シャツをチョイスしました。
まずは、インプットから。
引用:pinterest
撮りたいイメージを言語化すると「自然に溶け込んだ、アンニュイな雰囲気」。
撮影前に、Pinterestで理想の写真をストックしておきました。
初めて撮るジャンルのときは、自分の中に“イメージの引き出し”を増やしておくようにしています。
光の当て方を、意識してみる。

女性を撮るときは、光が斜め前から入るようにしたり、逆光でふんわりと包み込むように撮影することが多いのですが、今回は輪郭や骨格の美しさを際立たせたいと思い、あえて「斜光」で撮影してみました。顔の半分に少し影を残すことで、輪郭や表情がぐっと際立ち、写真全体に“かっこよさ”が生まれると思います。¥
飾らない美しさを引き出すために。

今度は光と影のバランスを大切にしながら、植物の影をあえて半分だけ、顔に重なるようにしてみました。前ボケになりそうな植物を手前に入れることで、ふわっと自然な空気感が演出できます。

目線を外したバージョンも。カメラを意識しすぎないようにすることで、よりナチュラルなイメージに。あとは、アイキャッチに光を入れてみたり、あえて目を瞑ってもらったり。そうすることで、写真全体の印象がより柔らかくなると考えています。
背景は、少し暗めに。

人物をより際立たせるために、奥行きのある場所に立ってもらうと、全体が引き締まった印象になる、と思いました。レタッチでは、コントラストを少し上げて、ハイライトを明るく、シャドウを少し下げるのが良かったです。輪郭や陰影が際立ち、より立体感のある仕上がりになりました。
逆光にも、種類がある。

1つ目の逆光は、水面に反射する光。キラキラひかる部分が顔に重なるように角度を調整することで、柔らかい“反射光”を利用して撮影できます。拡散された光を使うことで、光がふわっと輪郭を包み込んでくれるので自然な立体感と透明感を演出できます。

2つ目は、人物の斜め後ろあたりから入る光。輪郭に自然なハイライトが入り、被写体がやわらかく浮かび上がります。顔だけではなく、服装などのパーツを部分的に切り取って撮るのも良いです。
曇りの日は特に、柔らかく綺麗に映る撮り方だと思ってるので、挑戦して見てほしいです。
アンニュイな雰囲気を出すには?

ずっと考えていたのです。アンニュイな雰囲気ってなんだろう?って。
そこで行き着いたのが、人物の顔をすべて映さず、あえて一部を切って撮影してみる、ということ。その分、余白を残すことで、画面に抜け感が生まれます。ちょっとアンニュイな雰囲気になりませんか?
あえてのモノクロも、いい。


カラーで撮影するのももちろん良いのですが、もう少し“作品性”を突き詰めたいと思い、行き着いたのがモノクロでした。
「私が表現したいのは、これだ」と感じた瞬間がありました。
なぜなら、色の情報をそぎ落とすことで、被写体の輪郭や表情によりフォーカスできるから。
光と影だけで構成される世界はとてもシンプルだけれど、モノクロの方が被写体の存在感がよりダイレクトに伝わります。
カメラに内蔵されているモノクロ機能を使って撮影してみるのもおすすめです。
メンズポートレートに挑戦してみて。

今回の撮影では、光だけでなく影の部分も意識しながら、人物に光を当てていくことが多かったように思います。被写体に合わせて光をコントロールしていく過程が、撮っていてとても楽しい瞬間でした。
儚げだけれど、どこかストーリーを感じる一枚。
そんな写真を、これからも追求していきたいです。
photo:@sako_photo
model:Gaku(@gaku_ka)




