8月11日の夜はペルセウス座流星群が見られるということで、多くの方が星空撮影に訪れたのではないかと思います。かくいう私もその一人で、今回は千葉県の房総・野島崎灯台に天の川の撮影に行って来ました。
星空撮影の際、通常は三脚を使うと思いますが、私はほとんどの場合三脚なしで撮影しています。今回はそんな三脚なしの星空撮影のテクニックや方法、カメラの設定、レタッチ方法などをご紹介します。
目次
三脚なしで星空撮影する方法
星空を撮影する際の最大のポイントは、周囲に明るい光があまりない場所を探すこと。今回訪れた野島崎灯台は少し光がありましたが、それでも都会よりは光が少なく肉眼でも天の川を確認できるレベル感です。
カメラの固定場所選び

天候と場所の条件が揃ったら、続いては撮影場所選びです。三脚を立てない場合、どこかにカメラを置いて撮影する必要があります。
今回私がカメラを固定したのは 岩 です。
1.撮影したい位置を決める
2.岩やベンチなどカメラを置ける場所を探す(地面でもOKです)
3.タオルを敷いてカメラを設置
4.角度をつけたい場合はなだらかな斜面を選ぶか、ポーチなどをカメラの背面に挟んで調整する
この方法で撮影しました。三脚のメリットは画角が微調整しやすいことですが、重たかったり、混雑しているところでは邪魔になってしまうので、私はほとんど持っていかずこの方法で撮影しています。
星空撮影のカメラの設定
良さそうな場所にカメラを設置したら、あとはカメラの設定をして撮影するだけ! 今回撮影した私のカメラの設定はこちらです。
カメラのモード:マニュアルモード
絞り(f):3.5
ISO:4000
シャッタースピード:12秒
ホワイトバランス:オート
(カメラ:FUJIFILM GFX50R レンズ:50mmf3.5)
重要なのは、まず絞りを開放(fを小さく)にすること。
絞りを開放にする = 明るさが稼げる = シャッタースピードを比較的早くできる、というロジックになります。
続いてISO感度です。ISO感度は私は4000で撮影しました。
よく、ISOが高いと画質が荒れるのでなるべく低い設定で撮影する、ということが言われますが、正直今の高性能なカメラだったら4000でも全然綺麗です。またプロの撮影でなく個人的な目的の撮影であれば、正直ISO6000くらいまでは全然許容範囲だと思っています(笑)ISOを高く設定する = 明るさが稼げる = シャッタースピードを比較的早くできる、というロジックになります。
そして最後にシャッタースピードです。fを開放、ISOを高く設定したことでシャッタースピードはある程度早めの設定にできます。今回はシャッタースピードを12秒程度に設定し撮影しました。
実は最初の2つの設定(f値を開放にして、ISOを高く設定)は、シャッタースピードを10〜15秒程度にしたいという目的があり、そのような設定にしたんです。
というのも、星空は長い時間シャッターを開けると少し動いて線のようになってしまいます。
星空を”点”として写すためには、10〜15秒程度までのシャッタースピードにする必要があります。なので、ISOが低かったりf値が大きかったりすると、必然シャッタースピードを長くしないと写らない(暗くなってしまう)んですね。

後からレタッチや加工をすることを考えると、このくらい星が写ればOKです!思ったより暗いですか?笑 もう少し明るく撮りたい場合は、シャッタースピードを長くするか、ISO感度を上げるといいと思います。
また私のレンズは3.5までしか設定できませんが、2.0などのf値にできるレンズだともう少し明るくなると思います。
でも、後から加工するとこの程度の明るさでも全然大丈夫です(※ただしカメラによりますので心配な方はもっと明るく撮ったほうがいいと思います)
タイマー?レリーズ?シャッターの切り方
シャッターを切る方法は、1.手で押す 2.レリーズ(リモコンやアプリ)を使う 3.タイマー機能を使う という方法があります。
オススメはタイマー機能! 準備物も必要ありませんし、押してから3秒後にシャッターが切れるので手でシャッターを押す時のブレが防止できます。
ちなみに私の場合は…手でシャッターを押しました(笑)というのも、実は手で押している間シャッターが開き続ける”バルブモード”を使って撮影していたんです。バルブモードのいいところはシャッタースピードを好きな時間設定できるところ。10秒、11秒、12秒など好きなスピードに設定しながら撮影していました。(だから綺麗に撮影できる、ということではなくただの実験的な感じです…)
色々と面倒だったので手で押したまま撮ってみましたが (w)、カメラの性能のおかげか基本はブレずに撮影できました。
レタッチ方法
撮影した写真のレタッチ方法をご紹介します! 今回使用したのはPhotoshopですが、露出、ホワイトバランス、彩度、ハイライト、白レベル、黒レベル、テクスチャ(シャープや明瞭度でもOK) が調整できるものならどんなアプリでもOKです。

スクリーンショットだと星空が汚れのように見えますね(笑)まずは明るさを明るくします。

明るくするとかなりいい感じに天の川が見えてきました! 続いて、ハイライトをぶち上げます(笑)

白がはっきりとしてきましたね! 続いてはテクスチャを40に。

『テクスチャ』は、adobeの機能のようですが『明瞭度』と似ています。テクスチャの方が明瞭度よりもマイルドにシャープにするような感じです(うまく言えずすみません、きになる方は使ってみてください…笑)テクスチャの機能がない方は明瞭度でいいと思います。
続いてはホワイトバランスを青い方に動かします。

だいぶいい感じになってきました! お好みですが、色かぶり補正(緑orピンクの調整バー)も少しピンク側にふるといい感じになります。
続いては彩度です。ちょっとだけプラスにして鮮やかにします。

最後に、仕上げの白レベル、黒レベルを調整します。

白レベルをあげると、白い部分が明るくなり発光感が出てきますね!

黒レベルをマイナスにふると、引き締まります。これで完成です!

最初の汚れのような写真から、かなり進化しました!(笑)このように星空の写真はレタッチや加工がマスト! 上記の設定の通りに行えば綺麗にできますので、ぜひ撮影した写真を加工してみてくださいね。
マナーとエチケット
最後に…。撮影の注意点をご紹介します。実は、先日星空を撮影しに行った際に、大変マナーが悪い方がたくさんいらっしゃったんですね。
今回撮影に訪れた野島崎灯台には遊歩道があって、多くの方が散歩できるように整備されている場所なのですが、遊歩道のど真ん中に三脚を立てている若者が多くいらっしゃり、散歩に訪れた方がわざわざ岩場や草むらの方に避けて進まなければいけないという状態で…。ベビーカーでいらしていた方はベビーカーを抱えて避けるという事態になっていました。
さらに腹立たしかったのは、三脚の横に立っているのに、人が来たら『おいおい、やばいやばい…』と言いながらまさかの自分のカメラの心配をしている男たち。やばいのはあなたです。
三脚は“絶対に人の邪魔にならない” 場所に立てる。そして人がきたら”撮影していても三脚をどける” というマナーやエチケット、周囲への気配りは撮影するものとして絶対に忘れてはならないこと。それができない人に三脚を使う資格はない! カメラを使う資格もない!そんな風に人の邪魔をしながら撮った写真がいくら映えようが、その写真に一切の価値はない!
…と思います。
なので、三脚を立てる場合は事前の確認、人の邪魔にならないかどうかの確認、そして人が万が一通るときはシャッターを切っていてもカメラをどかす、ということを忘れずに撮影するのが大切だと思います。
オススメは今回の私のように、三脚は使わずに、人のいない草むらでシャッターを切ること(笑)
三脚は便利ですがマストではありませんし、人の邪魔になる可能性も高いので、ぜひ参考に三脚なし撮影を実践してみてもらえたら嬉しいです。