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写真が好きな、あの子の本音。
camell「zines」

STORY
2026.06.10

NDフィルターを買ってみて、撮れてしまった失敗写真13枚

明るいオールドレンズを使うとき、開放付近で撮るとある程度白飛びしてしまうのは仕方ないと思っていた。カメラの設定で露出補正しても飛んでしまうし、だけどF値はあまり絞りたくない。どうすれば白飛びしないんだろうと、ふと同じレンズの作例を検索してみると、見事に白飛びしていない作例を上げている人がいる。これはなぜだろう。

ChatGPTに相談してみると、NDフィルターを使ってみるんじゃないかな、という返答だった。そうか、NDフィルターを使えばいいのか。名前を聞いたことはあるけど、使ったことはなかったな。じゃ、使ってみるか。オールドレンズでの困りごとを解決してくれるのなら、使ってみるしかない。
そんな気持ちでNDフィルターを買ってみた結果が果たしてどうだったのか、すべてお見せします。

まず最初に、わたしの感想としては、「NDフィルターは白飛びさせない魔法のフィルターじゃなかった!」ということになる。

カメラ側でも意図を考えて設定を触らないと、やっぱりどこかが白飛びしてしまう、もしくは暗くなってしまう。NDフィルターをつけているという前提で設定をすることが必要なのだ。使ってみるまで前提に気づかず、いつもの設定にNDフィルターをプラスするだけで白飛びせず撮れる、スローシャッターも使える、と思い込んでしまったわたしは、この設定にかなり手こずってしまい、失敗写真を何枚も撮ってしまった。今までに使ってきたフィルターがソフト系ばかりだったことも思い込みの一因だろう。


ということで、失敗写真の数々と振り返りをご覧ください。
ちなみに、この失敗写真シリーズに挑んだ機材はこちら。

カメラ:PENTAX K-3
・TAvモードにて撮影(カスタムイメージ:銀残し)
レンズ:Super Takumar 55mm F1.7
・基本的に開放付近にて使用
NDフィルター:kenko 49mm PRO1D Lotus NDフィルター ND8

写真を白飛びさせないだけでなく、スローシャッターを使って街撮りをしてみたいと思った。「街撮りなのになぜ開放なんだ?」「絞ればいいじゃない!」という声が聞こえてきそうだけど、なるべくオールドレンズを楽しむためにあえて絞らずに撮ってみたかったのだ。加えて、わたしはこのとき、自分がやったことのない撮り方で街撮りを試してみたかった。APS-C換算で中望遠のオールドレンズ・ほとんど使ったことのないカスタムイメージ・使ったことのないNDフィルター・やったことのないスローシャッター。

振り返ってみれば、縛りが盛りだくさんすぎる。だけど、いつもの感じで撮った写真ではなく、ひとつの引き出しとして何か新しい感覚を探してみたかった。デジタルなんだから失敗してもいいじゃない、当たって砕けろ、そんな気持ちでどんと挑み、そしてわたしは見事に砕けた。

では、失敗写真にいきましょう。

1日目|名古屋駅周辺|天気:薄曇り

1/30s,ISO100

本当にNDフィルターつけたのか!?というくらい飛んでいる。これはシャッタースピードがスローシャッターの設定のまま撮ったからだろう。ビル群の何を流し撮りするつもりだったのか。この日は風もなくて雲も何も流れていないのに。

1/30s,ISO100

人々が行き交う様子を収めようとスローシャッターをやってみようとして見事に白飛びしている。右上には大垣共立銀行やミッドランドスクエアが見えるはずなのに何も写っていない。木すら白飛びしそうになっている。

1/125s,ISO400

花を前ボケにして通りを撮りたかったのだけど、真ん中に桜通があると言っても誰も信じてくれないだろう。フィルム写真で露出をミスったときみたい。これはISOがなぜ400になっていたんだろう、と振り返って考えてみると、ISOを100〜800の範囲でオートに設定してたからだった。NDフィルターのぶん暗く判定したんだろう。たぶん。

1/125s,ISO200

ISOを下げて撮り直し。これでも奥は飛んでいるけど、真ん中にある桜通の存在は感じてもらえると思う。

1/30s,ISO200

ハイキーじゃないスナップ写真がどちらかというと好きなのもあって、これはちょっと明るすぎる気がした。とはいえこの写真、この記事を書きながら見返していて、もしかしたらレタッチで息を吹き込むことができるんじゃないかと思いついた。ということで、レタッチした写真が下の写真。

いっそモノクロにしてしまえば違う印象で見られるかもしれない。

1/30s,ISO100

NDフィルターを本当に使ったのかシリーズ。今年2月に閉館した名鉄百貨店が見事に白飛びしている。閉館したからって白飛びしなくていいんだよ。これでは白い世界へ歩いていく人ばかりになってしまった。

1/10s,ISO200

屋根のあるところのエスカレーターを撮りたかったのでシャッタースピードを落としたのだけど、白い服が揃いも揃って洗剤のCM以上にぴかぴかしている。ディテールというか質感がない。このあたりになってくると、見てもお分かりの通りカメラ設定迷子になっていて、思い描いた通りに撮れない撮れないと混乱状態になっていた。

似たような失敗写真を量産し続け、「ぜんぜんうまく撮れない……」と名駅で立ち尽くしてしまった。このままではうまく撮れなくて嫌になってしまう。この日は潔く切り上げて、別日に仕切り直すことにした。

2日目|矢場町周辺|天気:曇りときどき晴れ

いったん頭を整理して、落ち着いて撮ってみることにした。
そして一発目。

1/20s,ISO400

どこが落ち着いているのか。曇っていたからといって設定を思い切り過ぎである。若宮大通の歩道橋と車を撮ろうとしたのだけど、車が流れているというか白飛びの世界の抽象表現みたいになっている。

1/20s,ISO100

さっきの写真よりはこちらの世界に戻ってきている。ISO100まで下げたからだろう。つばめタクシーが流れているのはわかるけど、矢場とん本店の壁面に描かれているキャラクター・ぶーちゃんの化粧廻し以外が飛んでいる。

1/20s,ISO100

のっぺりと飛んでいる。この場面を撮るのなら、シャッタースピードも上げて、オールドレンズらしさを維持できる範囲でもう少し絞ってもよかったんじゃないかな。

1/30s,ISO100

防犯カメラが作動していることはわかるけど、どこで作動しているのかわからない。交差点で撮ったのだけど、ここが交差点なのかもわからない。交差点を行く車を流したかったはずなんだけどな……。「防犯カメラ作動中!」の文字だけがくっきりしていて、そこだけ浮遊した現実感がある。

1/30s,ISO100
スローシャッターで撮ってなかったらもっとまともに写っていたと思う。スローシャッターにこだわりすぎて設定が迷子になっていった。PENTAXのカメラにはMモードのときにMFレンズでも適正露出に合わせてくれるグリーンボタンという機能があるのだから、TAvモードではなくMモードにしてグリーンボタンを適宜使いながら撮ればよかったのかも、と今さらながら気がつく。もっとカメラの頼れるところは頼ればよかった。

1/50s,ISO100

背景の木に比べて、赤は白飛びしにくいことがわかった。しかしこの白飛びのしかたはどことなくホラーみがある。そしてまたぶーちゃんが化粧廻しだけになっている。矢場とんの文字の輪郭が滲んでいるせいか、そこはかとなく怖く見えてしまう。ごめんなさい、矢場とんは好きです。

1/125s,ISO100

白紙の隅に三角形を置いたイラストに見えるけど、高速道路越しの空を撮ろうとしてこうなってしまった。Exifを見るとたしかにK-3で上記の設定で撮った写真だった。
最後の失敗例がこれはさすがにあんまりなので、うまく撮れた空の写真も置いておく。

1/125s,ISO100

シャッタースピードとISOの設定は同じだから、露出補正を下げてF5.6程度に絞って撮ったと記憶している。ちょっと画角を変えたのもよかった。
この日はこのあと、場合によって柔軟性を持たせて少し絞るようにしたこともあり、激しく白飛びすることはなくなった。

似た設定で似た失敗をした写真を省いて、選りすぐりの失敗写真13枚を載せてきた。フォルダにはまだまだ失敗写真がたっぷりある。
撮っているときは設定を触ってはシャッターを切って、を繰り返してもうまく撮れなくて、ただ追い詰められた気持ちになっていた。少し時間が経った今、改めて失敗写真に向き合ってみると、何が悪かったのかがだんだんわかってくる。

開放付近で撮ることを優先するか、スローシャッターで撮ることを優先するか、どちらかに絞っておけば難易度は下がったんじゃないか。カメラの露出補正をもっと積極的に使ってもよかったんじゃないか。NDフィルターの使い方をもっと調べて、場合によってはChatGPTにヒントをもらってもよかったんじゃないか。そしてなにより、NDフィルターを使いさえすれば白飛び問題が解決すると思い込んでいたのではないか。

1/100s,ISO100    たしかF2.8
多少飛んでいるけど好きな1枚

「NDフィルターさえ使えば、白飛び問題も解決するし、スローシャッターみたいな表現もできる」という思い込みは、逆にわたしを苦しめた。試行錯誤しながら撮ることが、楽しみよりも苦痛になってしまったのだ。「困りごとが解決するはずなのに、どうして」と混乱してしまった。
思い込みを先行させずに、「NDフィルターってどんなものなんだろうな、使ってみようかな」という気持ちで触っていたら、もっと余裕を持って試行錯誤を楽しめただろう。

このままではほろ苦いままなので、またNDフィルターを使ってオールドレンズでスナップをしてみたい。そのときはもっと、やわらかな頭とおおらかな気持ちでNDフィルターに向き合いたい。NDフィルターを使うことで、自分の中の新しい引き出しは開くかもしれないし、開かないかもしれない。だけど、NDフィルターがあることで、撮れる写真の幅は広がる、ような気がする。
NDフィルターとのおつきあい、まだまだ続きそうです。

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nagisao
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・生粋の名古屋っ子
・のんびり歩きながら写真を撮ることが好きです